フィジカル・サイバー空間にまたがる原子力プラント3Sを俯瞰し実践・主導する規制人材育成

プログラム概要

東京工業大学原子力規制人材育成事業は、原子力規制庁からの補助を受け2017年度より3S (原子力安全 (Safety)、核セキュリティ (Security)、保障措置 (Safeguards)) 専門の教育プログラムを実施しています。原子力利用における確かな安全を確保し、原子力災害、核テロ、核拡散等のグローバルな原子力危機に適切に対応する将来の3S分野の専門家又はリーダーを育成することを目的としています。

2021年度までは、「核セキュリティ・保障措置を理解し、3Sを俯瞰・主導できる人材」 の育成を目標とし、3Sに関する高い専門性に加え、俯瞰力、実践力、主導力を段階的に育成する 「原子力規制人材育成事業教育課程」 カリキュラム (3S講義、3S実習、3S国内外インターンシップ) を構築しました。また、国内外の核セキュリティ・保障措置の規制機関や実施機関と連携する学内外実習と国内外インターンシップの実施体制を構築し、2020年度には、国際原子力機関 (IAEA) と本学間でのインターンに関する協定を我が国の大学として初めて締結し、通常派遣が困難となる保障措置局や核セキュリティ関連部署に対してもインターン学生を毎年安定的に派遣しています。

▶ 核セキュリティスクール (NUSST)


▶ 国外インターンシップ

2022年度からは、「核セキュリティ・保障措置を理解しフィジカル・サイバー空間にまたがる原子力プラント3Sを俯瞰し、実践・主導できる人材」 の育成を目標とし、原子力プラントの核セキュリティ・保障措置に重要な核物質等の取扱や破壊・非破壊分析に関する専門性を高めるために、学内施設で実際の核燃料物質や放射性物質を使用する実験を大幅に拡充しました。フィジカル空間のみならずサイバー空間での新たな技術・脅威に対応するために、原子力プラントのサイバーセキュリティ実習を学内外で実施しています。また、3S専門性について研究活動を通じて深めるために、学生研究公募型の3S研究プロジェクトを開始し、3Sに関わる研究実施計画を学生自らが主体的に作成し、研究遂行並びに成果発表を支援しています。

▶ 原子力プラントフィジカルセキュリティ実習

出典:実習レポート

▶ 原子力プラントサイバーセキュリティ実習

出典:三菱重工技報 Vol.57 No.4 (2020) 原子力特集

3Sへの関心を拡大し、科学技術並びに社会科学の視点から核セキュリティ・保障措置分野の認識を向上するために、原子力専攻の学生に限ることなく、他専攻、他大学の学生や社会人も対象とする教育プログラムも提供しています。本教育課程の修了要件を満たした受講生には 「原子力規制人材育成事業教育課程修了認定証」 を授与しています。2021年度まで559名が本教育課程の科目を受講し、32名が修了しました。

▶ 科目受講者 (2017-2021年度:559名) ▶ 教育課程修了者 (2018-2021年度:32名)